こんにちは、
歯科衛生士歴17年、れーやんです。
今回は『歯肉炎』と『歯周病』の基本を見ていきます
歯周治療からは逃げられない
私たち歯科衛生士の業務のメインと
いっても過言ではない『歯周治療』
『治療』をするからには、
『健康』な状態がゴール🚩
敵🦠を知って、戦いましょう!
歯周病とは?
歯周病とは、歯のまわりの病気と書きます。
文字通り、
歯そのものは健康でも歯を周りから侵す病気。
歯周病(periodontal disease)
新常用歯科辞典より
歯周疾患とも呼ばれ、歯周組織に原発し、その機能を侵す病的状態をいう。
歯周組織を破壊する新生物(悪性腫瘍など)や代謝疾患は含まれていない。
とあります。
歯を土台から失う原因になる、そんな病気なんですね。
原因は、
おもに病原性のプラークに含まれる細菌ですが、
その他に嚙む力が不適切にかかって起こる
『咬合性外傷』があります。
『健康』『歯肉炎』『歯周病』の状態を正しく把握して説明できるようになろう
〈健康な歯肉とは?〉
淡いピンク色、引き締まった辺縁歯肉、シャープな歯間乳頭、
人によりスティップリングが確認できる
〈歯肉炎〉
歯肉の色は赤みがかって、丸みを帯びる、歯間乳頭は鈍角な三角形になる
ブラッシングで出血する、骨欠損は伴わない
〈歯周病〉
骨欠損がある、歯肉は赤紫色帯びている、歯間空隙が広くなる、歯の動揺がある
ここで押さえておきたいのは、『骨欠損』です。
骨です。歯槽骨‼
歯を支えているのは、歯槽骨。
骨に埋まっているところがあるから咬合力に耐え、今の位置を保っていられるのです。
その『歯槽骨が減っているか、どうか』が歯肉炎と歯周病の境界線なのです。
『歯周病』と『歯周炎』!?
書籍やセミナーでは『歯周病』と言ったり、
『歯周炎』と言ったりなかなか統一されていないのが現状です。
歯科医院の中では『歯槽膿漏』と説明しないと理解してもらえない時もあるでしょう。
さて、
『歯周病と歯周炎』はどんな違いがあるでしょうか?
答えは、
『歯周病』は病気の名前。
『歯周炎』は状態の名前。
『骨折』の中に、
圧迫骨折、単純骨折、粉砕骨折があるように、
『歯周病』の中に、
歯肉炎、歯周炎という病態の変化があるのです。
ここで、
歯肉炎から歯周炎への移行の鍵は🔑何か?
歯周炎へのカギは出血🩸歯肉溝上皮に潰瘍があるから
歯槽骨が欠損する前段階に必ずあるのが、『出血』。
出血は歯周ポケット内の上皮に潰瘍ができている、
ということ。
胃潰瘍ができて、放っておく人がいるでしょうか?
大体の人は病院に駆け込んで、治療を始めます。
私は身近な例え話としてよく、『砂利道で転んだら』と話します。
砂利道で転んで、ヒザを酷く擦り剥きました😢
血は出てるし、皮は剥けているし、砂や葉っぱが付いて汚れています。
で、アナタならどうしますか? と聞きます。
ほぼ100%の患者さんが『洗って消毒します』『絆創膏も貼るかも』
たまに『酷かったらガーゼ貼るかな…』なんて方もいます。
歯肉の出血も一緒です、ヒザを擦りむいているのと同じ。しかも、細菌だらけで生暖かい環境で。
モイストヒーリング(乾燥させないように組織を治すこと)に良さそうな常に湿っていること以外、
とても傷口に良さそうなことは、何一つありません。
よね????
と、お伝えします。
潰瘍からエサをもらう細菌たち🦠
出血している歯肉には何が起こっているか?
潰瘍ができています。
潰瘍(ulcer) とは
新常用歯科辞典より
粘膜や皮膚の上皮が様々な原因で、上皮基底部を超えて破壊ないし壊死を起こし、同部に炎症増を伴う状態をいう。原因はさまざまで、物理的や科学的刺激、生物的原因や腫瘍の増殖に伴う表面上皮の破壊などがある。(中略)
そして、病変を構成する重要な因子となることが多い。
となっています。
要は、
表面部分のバリアが全部なくなって中が見えていて、
炎症していている。
しかも、その部分が病気の重要部分なことが多いよ。と。いうこと。
原因はご存じ歯周病原性細菌です。
細菌はエサになるものがないと増えたり、
活動を活発にしたりすることができません。
潰瘍ができてエサがもらえる時を、
今か今かと待っているのです💀
歯周病原菌のエサはアミノ酸、そしてヘモグロビンです。
細菌の種類によって好みがあり、
我らが宿敵🦠歯周病最強の細菌ジンジバリスは
ヘミン鉄が大好物。
*ヘミン鉄:ポルフィリンと結合した鉄分のこと。赤血球のなかのヘモグロビンに含まれている
『歯周病原性細菌のTOP』ジンジバリス
本名:ポロフィロモナス・ジンジバリス
偏性嫌気性(酸素のある場所で生育できない)
糖を栄養源としない
タンパク質を分解して栄養源とする
歯周病原性細菌は3層に分類され、
最下層に善玉菌と弱毒菌、
中層に低病原性歯周病菌、
最上層にレッドコンプレックスと
呼ばれる高病原性歯周病菌が配置されており、
そのTOPにジンジバリスは君臨しています。
ジンジバリスはだいたい18歳頃に感染し、
(ごく稀にもっと早い時期に感染が見つかる人がいる) 歯周病を発症、悪化させる時をじっと待っています。
自分🦠にとって歯肉の状態や細菌叢が悪くなっていくのを待っているんですね。ヤなやつ…
そして歯肉から出血するようになったら!
その中からヘミン鉄をもらい増殖して
歯周病を増悪させていくのです。。。
まとめ
今回は『歯周病の基本のキ』をテーマにしました。
歯周病がなぜ起こるのか、悪化の要因は?
など日々研究が進んでいます。
健康な歯を歯周病で抜歯するような患者さんが
一人でも減るように、
今日も臨床の場に立ち続けます!
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